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2009/05/09
16:11:10
昇が売店の前に来ると、そこには田中道弘と時田若葉がいた。昇の数少ない”正常な”友人だ。
声をかけようとしたが、ふと雰囲気が悪いことに気付く。
彼ら二人は付き合っており、とても仲が良いことで知られているのだが。
「いい加減にしてよ!」
若葉の大きな声が響く。
「そんなこと言うなよ!」
続いて道弘も大きな声を出す。
昼休みも終わりが近づき、売店の前からは比較的生徒の数が少なくなっているとは言え、それでも多くの生徒の視線を集めている。察するに、喧嘩を始めてから少し時間が経っているようだ。
二人とも知っている顔なので、逆に近づきにくい。
昇は頭をかき、どうしようかと悩んだ。
ここで仲裁に入るべきか。
いや、迷っている場合ではないだろう。
「道弘?」
声をかけると、そこで初めて道弘は昇の存在に気付いたようだ。険しかった表情がわずかだが緩む。
「あ、ああ昇か」
「どうしたんだ?」
昇が二人に歩み寄る。
若葉は黙ったまま道弘を見ていたが、やがて頬を膨らませたまま近づく昇の方を見た。そして言った。
「中原君!ミチ君がひどいんだ!とにかく!」
全く要領を得ないが、この状況で冷静に説明されてもそれはそれで困る。
「ひどいのか。道弘」
我ながらひどい返答だ。
そんな昇の言葉に道弘は苦笑した。
「若葉が一方的なんだよ」
「また!」
「まあまあ」
再び言い争いになりそうな二人をなだめながら、昇は状況を考えた。売店の前で喧嘩をする状況を。
売り物を見ると、ほとんど売れてしまっていて目ぼしいものは残っていない。売店のおばちゃんは相変わらず困った顔をしている。あたりを見回しても関係がありそうな人物はいない。そして二人は何も持っていない。
原因は何だ。
「で、何があったんだよ」
直接聞いてみるのが一番だという結論に達し、思い切って尋ねてみた。
「それが大したことじゃないんだけど」
「大したことじゃない!?」
道弘の言葉がことごとく若葉の機嫌を損ねる。これは悪い流れだ。そして話が先に進まない。
「もういい!」
ついに若葉が歩きだしてしまった。そのまま売店から離れていく。
声をかけようとしたが、ふと雰囲気が悪いことに気付く。
彼ら二人は付き合っており、とても仲が良いことで知られているのだが。
「いい加減にしてよ!」
若葉の大きな声が響く。
「そんなこと言うなよ!」
続いて道弘も大きな声を出す。
昼休みも終わりが近づき、売店の前からは比較的生徒の数が少なくなっているとは言え、それでも多くの生徒の視線を集めている。察するに、喧嘩を始めてから少し時間が経っているようだ。
二人とも知っている顔なので、逆に近づきにくい。
昇は頭をかき、どうしようかと悩んだ。
ここで仲裁に入るべきか。
いや、迷っている場合ではないだろう。
「道弘?」
声をかけると、そこで初めて道弘は昇の存在に気付いたようだ。険しかった表情がわずかだが緩む。
「あ、ああ昇か」
「どうしたんだ?」
昇が二人に歩み寄る。
若葉は黙ったまま道弘を見ていたが、やがて頬を膨らませたまま近づく昇の方を見た。そして言った。
「中原君!ミチ君がひどいんだ!とにかく!」
全く要領を得ないが、この状況で冷静に説明されてもそれはそれで困る。
「ひどいのか。道弘」
我ながらひどい返答だ。
そんな昇の言葉に道弘は苦笑した。
「若葉が一方的なんだよ」
「また!」
「まあまあ」
再び言い争いになりそうな二人をなだめながら、昇は状況を考えた。売店の前で喧嘩をする状況を。
売り物を見ると、ほとんど売れてしまっていて目ぼしいものは残っていない。売店のおばちゃんは相変わらず困った顔をしている。あたりを見回しても関係がありそうな人物はいない。そして二人は何も持っていない。
原因は何だ。
「で、何があったんだよ」
直接聞いてみるのが一番だという結論に達し、思い切って尋ねてみた。
「それが大したことじゃないんだけど」
「大したことじゃない!?」
道弘の言葉がことごとく若葉の機嫌を損ねる。これは悪い流れだ。そして話が先に進まない。
「もういい!」
ついに若葉が歩きだしてしまった。そのまま売店から離れていく。
2009/04/25
18:57:50
「平和だ…」
思わず、中原昇はつぶやいた。
ここは月見高校一年二組の教室。
昼休みの今は、十数名の生徒が教室に残って、それぞれが好き勝手に過ごしていた。昇は昼食のサンドイッチを食べ終わると、静かに深呼吸をした。
普段の昼休みの場合は、大紀が余計なことを言って、白岩が余計なことをして、青杉辺りが便乗して、勃発した騒ぎに巻き込まれて疲れるのだが、今日はどうしたことか三人とも欠席している。
よって、昇は静かなひとときを満喫できているのだ。
ちょっと物足りないかな……
はっとする昇。
今、何を考えていた?
物足りないわけがない。この静かなときこそが正常というものだ。昇は一瞬だけ自分の中に浮かんできた気持ちに愕然とした。
「……」
駄目だ。
一度飲み物でも飲んで、落ち着くとしよう。
昇は席を立ち、売店に向かった。
何故、サンドイッチと一緒に買わなかったのかと多少の後悔をしながら。
「はぁ…」
思わず、山村大吉はため息をついた。
大吉は校内の掲示コーナーの前にいた。
この掲示コーナーは学内の部活やサークルの紹介ポスターが多く貼られている。野球部やサッカー部と言ったメジャーなものから、宇宙交信研究会などの怪しげなものまで種類が豊富だ。昇降口から廊下に入り、すぐ掲示コーナーがあるため、昼休みの今は多くの人がこの近くを行きかう。それだけに、掲示コーナーにポスターを貼りだそうとする団体は多い。もちろん、生徒会の許可が必要だ。
怪しげなものも多いので、それほど審査は厳しくないようだが。
大吉はその中でもひときわ小さなポスターに目が釘付けになっていた。
しかし、誰かが近くを通るたびに掲示コーナーから目をそらし、若干距離をとってからまた元の場所に戻ってくるのを繰り返している。
その様子から、そのポスターを見ていることを誰かに見られたくないと思っているのは確かなようだ。
……どうする、俺?
大吉は自問自答を繰り返していた。
とあるサークルに入ろうかと悩んでいるのだ。
入学して二ヵ月余り。これと言った部活動をしてこなかった大吉だが、ここに来て入ってみようかと思ったのには大きな訳がある。
「……」
駄目だ。
一度飲み物でも飲んで、落ち着くとしよう。
大吉は意を決して掲示コーナーから離れ、売店に向かった。
大吉が見ていたポスターには、桜の花が描かれていた。
思わず、中原昇はつぶやいた。
ここは月見高校一年二組の教室。
昼休みの今は、十数名の生徒が教室に残って、それぞれが好き勝手に過ごしていた。昇は昼食のサンドイッチを食べ終わると、静かに深呼吸をした。
普段の昼休みの場合は、大紀が余計なことを言って、白岩が余計なことをして、青杉辺りが便乗して、勃発した騒ぎに巻き込まれて疲れるのだが、今日はどうしたことか三人とも欠席している。
よって、昇は静かなひとときを満喫できているのだ。
ちょっと物足りないかな……
はっとする昇。
今、何を考えていた?
物足りないわけがない。この静かなときこそが正常というものだ。昇は一瞬だけ自分の中に浮かんできた気持ちに愕然とした。
「……」
駄目だ。
一度飲み物でも飲んで、落ち着くとしよう。
昇は席を立ち、売店に向かった。
何故、サンドイッチと一緒に買わなかったのかと多少の後悔をしながら。
「はぁ…」
思わず、山村大吉はため息をついた。
大吉は校内の掲示コーナーの前にいた。
この掲示コーナーは学内の部活やサークルの紹介ポスターが多く貼られている。野球部やサッカー部と言ったメジャーなものから、宇宙交信研究会などの怪しげなものまで種類が豊富だ。昇降口から廊下に入り、すぐ掲示コーナーがあるため、昼休みの今は多くの人がこの近くを行きかう。それだけに、掲示コーナーにポスターを貼りだそうとする団体は多い。もちろん、生徒会の許可が必要だ。
怪しげなものも多いので、それほど審査は厳しくないようだが。
大吉はその中でもひときわ小さなポスターに目が釘付けになっていた。
しかし、誰かが近くを通るたびに掲示コーナーから目をそらし、若干距離をとってからまた元の場所に戻ってくるのを繰り返している。
その様子から、そのポスターを見ていることを誰かに見られたくないと思っているのは確かなようだ。
……どうする、俺?
大吉は自問自答を繰り返していた。
とあるサークルに入ろうかと悩んでいるのだ。
入学して二ヵ月余り。これと言った部活動をしてこなかった大吉だが、ここに来て入ってみようかと思ったのには大きな訳がある。
「……」
駄目だ。
一度飲み物でも飲んで、落ち着くとしよう。
大吉は意を決して掲示コーナーから離れ、売店に向かった。
大吉が見ていたポスターには、桜の花が描かれていた。






